『一流の人脈術』は、一流の人が登場する内容ではありません。
僕自身の経験、人脈を築く上でのエピソードや失敗談を含め、これから社会で活躍するルーキービジネスパーソン、
また、すでに現場で活躍している人たちに向けて、皆さんなりの『一流の人脈』を手に入れて欲しいと願って書いてみました。
こんな時代だからこそ、何らかのキッカケで出逢った人と名刺交換をしただけで終わらせるのではなく、
人脈に転換させるべきでしょう。本書が、少なくとも出逢った人同士で何かを生み出したり、
発展があったりとオモシロい展開をするためのヒントや手引書になれば嬉しいです。
はじめに |
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第1章 人脈を築く 12 の心構え 01 人脈とは何か 02 どこから人脈を築けばいいのか 03 人脈を広げることができる場所は 04 人脈の多い人の共通点 05 人脈は、三方良しの哲学で 06 一流人の特徴は? 07 人脈ブルーオーシャン戦略 08 逆バリ人脈の効用 09 人脈を崩壊させないコツ 10 人脈経済学のススメ 11 言葉力と質問力を磨く 12 究極人脈の秘訣 |
第2章 出逢いをドラマに変える 12 の戦略 13 一〇〇〇枚の名刺交換にチャレンジする 14 忘れないための絶対法則 15 名刺交換は瞬間芸 16 話のきっかけをつかむのは褒め言葉 17 人前で自己アピールをするコツ 18 初対面の苦手意識を克服する 13 の話題 19 場慣れする方法 20 立食パーティでの出逢いのコツ 21 セカンドアポはおいしい蕎麦屋 22 笑顔で「ニコッ」の法則 23 新しい縁は大切。古い縁はもっと大切 24 人脈は、心理学、文化力、人間力 |
第3章 また逢いたいと思ってもらえる 8 つの仕掛け 25 自分の興味、自分への興味を確かめる 26 セカンドアプローチは手土産を 27 能力が上の人、他業界、世代が違う人との接し方 28 知り合いから友人へ デジタルからアナログへ 29 今日からできる感性の磨き方 30 人を紹介してもらうための信頼関係の築き方 31 より深いコミュニケーションへ 32 女性ならではの人脈術 |
第4章 人脈をネットワーク化する 11 の戦術 33 名刺は捨てるな 34 一枚の名刺から発展させるコツ 35 プロフェッショナルを巻き込もう 36 島田式人脈加速術 37 異業種交流は長い目で 38 自分でインフラを作れる人になれ! 39 出版講演で広げる人脈ネットワーク 40 集まった情報を還元「タライの法則」 41 ジャンルを越えた人脈を持つ 42 相談を受けたら、徹底的に付き合う 43 人脈を「見える化」していますか? |
第5章 コラボレーションを生み出す 6 つの応用 44 ネットワークからコラボレーションへ 45 人と人のクリップを生み出そう 46 コラボレーションする際に、注意すること 47 人脈を生かした、海外とのコラボレーション 48 黒子になることも必要 49 21 世紀型の人脈作りの場を設ける |
第6章 特別対談(藤巻幸夫氏) 50 打算的な出逢いは本物の人脈ではない |
おわりに |
『一流の人脈術』は、一流の人が登場する内容ではありません。
僕自身の経験、人脈を築く上でのエピソードや失敗談を含め、これから社会で活躍するルーキービジネスパーソン、
また、すでに現場で活躍している人たちに向けて、皆さんなりの『一流の人脈』を手に入れて欲しいと願って書いてみました。
こんな時代だからこそ、何らかのキッカケで出逢った人と名刺交換をしただけで終わらせるのではなく、
人脈に転換させるべきでしょう。本書が、少なくとも出逢った人同士で何かを生み出したり、
発展があったりとオモシロい展開をするためのヒントや手引書になれば嬉しいです。
さて、本文を読む前に、「ナゼ、僕が人脈を大切にしているか」ということを知って欲しいと思います。
そこで、僕の生い立ちを振り返りながら、少しお話しさせて頂きます。
■人脈の大切さをはじめて知った日
僕は京都の中心部、中京区で生まれました。東京で言えば、千代田区一番町のような、ど真ん中にあたります。
ここで、うちは代々、着物に家紋を手書きする紋章工芸という仕事をやってきました。
職人の家系で育った僕は、小学校、中学、高校と進む中で、
「もっと広い世界を見てみたい。そして、この職人の堅苦しい世界から一刻も早く飛び出して、
広い世界でいろんなものを学んでみたい」、そんな気持ちがふつふつと沸いてきました。
「将来はマスコミの世界に進み、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じたことを何か人に伝えたい。
そして、将来は社会に役に立つ企業を起こしてみたい」、と思っていました。
悶々と悩みながら、地元京都の高校を卒業して、京都の地元の大学に進学したのですが、
やはり自分としては初志を貫徹したくなって、東京の大学を再受験したのです。
その伏線は、京都の大学時代の一年生の夏休みに、ひとりで北海道一周旅行に出かけた時のことです。
そこで同学年の多くの学生たちと出逢い、交流ができました。ひとり旅で来ている人や、グループ、
または大学のサークル活動の一環で北海道旅行をしている人などさまざまな出逢いがありました。
そこで感じたのは、自分自身が、今まで京都で知っていた人たちと全く違う人たちが世の中にいるということでした。
「なんて、自分の知っている世界は狭いんだろう」。その新しい世界を垣間見、
そして、やはり自分自身の成長のためには、京都を飛び出して東京の大学で学ばなくてはいけない。
そんなことを使命のように感じたことが思い出されます。
そして翌年、東京の大学に進学し、そこで、またさまざまな全国から集まって来ている学生と知り合うことになります。
同じ学年でも、北海道から来ている学生と九州や沖縄から来ている学生では、全く文化や考え方が違うことに、
その時気づきました。京都では気づかなかったことです。
大学四年間、さまざまな同世代の人と知り合い、さまざまな文化を吸収し、
そして、休みの時には積極的に旅に出るようにしました。
一番感銘を受けたのは、スペインに行った時に見た、サグラダ・ファミリア教会という、
天才建築家アントニオ・ガウディが作った建物でした。
同じ地球でも、これほど文化が違えば、作られる建物も人たちの生活も違うことを現場で体感しました。
その海外で、見て聞いて感じたことは、現在の仕事の中にも生きていますし、
自分自身が人脈の大切さを知った、はじめての経験だったと思います。
■人から学び、教わる
それまで、アントニオ・ガウディという名前も僕は知らなかったし、サグラダ・ファミリア教会という存在も知りませんでした。
それを教えてくれたのは、アルバイトで知り合った友人からでした。
僕は社会学部に在籍していたのですが、彼は全く違う建築学部の学生でした。
全く違う異分野の友人からその言葉を聞いて、自身が興味関心や知的好奇心を持って、自分で調べ、
そして、そこで調べるだけで留まらず、自分の足を使って現地に行ってみたのです。
そして、その現場でスペイン・バルセロナの空気を感じ、サグラダ・ファミリア教会という建物を見て、
そのスケールの大きさに感動し、ガウディの生き様や哲学に触れ、また、バルセロナの街場のバールで、サングリアを飲み、
パエリアを食べながら、スペインの文化に触れたわけです。
現場主義! そこで出逢ったスペイン人や、出逢った日本人たち。現場に出向いて人脈ができたのです。
これが僕にとっての人脈構築の原点だったように思います。
就職活動は、マスコミに絞り、将来は起業することを視野に入れて、会社選びをしたわけです。
その時もやはり、大学OBの人脈を生かして、各企業の生の声を精一杯聞くことに力を注ぎました。
自分で関心を持ってフットワーク良く動き、そしてそこで人脈を作る。
これは、僕が常に心に置いて、そして実践しているキーワードです。好奇心を持つこと。
そしてフットワーク良く動き、現場でナマの声を聴き、その先で人脈を作ること。
現在では、これが成功の方程式かなと思っているのですが、その実践を学生の頃からやっていたように思います。
■何かを生み出してこそ、人脈。人脈コラボで何が生み出せるのか?
そして、社会人になって、雑誌の編集をすることになりました。スポーツの総合誌を担当していたのですが、
ここでも、ひとりの力では何もできない。一冊の雑誌を作り上げていく上で、チーム力というものが一番大切になってきます。
もちろん、編集の企画を立てるのは、各々の編集者の情報収集力や企画構成力、アイデア力、
いろんなものが問われるわけですが、まず基本になっているのは、人と人とのつながりです。
そして、その個性を持った人と人がディスカッションを繰り返し、よりいい雑誌を作る。
そして、より売上の取れる雑誌を作る。そういったことを念頭に置きながら、やっていたように思います。
更に、スポーツ雑誌の場合は、トップアスリートの協力なくしてはできません。
国内のトップアスリート、そして海外のスーパースター。彼らといかに信頼関係を築きながら
我々の雑誌に快く協力してもらうための環境や導線を作るのが、編集者のもうひとつの仕事になります。
国内外をトップアスリートと転戦しながら、仕事の中での人脈構築を僕自身は行ってきたわけです。
まず信頼関係を作り、その上で何を生み出せるかを考えてきました。
二〇〇五年に僕は、これまでに得た、人脈を生かして、それをさらに加速させて、
株式会社クリップという、人、コト、モノ、文化をクリップ(引き合わせ)して、ビジネスをデザインする会社を設立しました。
現在、東京、京都を月に七~八回、そして海外を往復しながら「伝統と革新、伝統とモダンの融合」を、
キーワードに、コラボレーションの仕掛けやプロデュース、文化発信を行っています。
僕のことについて駆け足で紹介させて頂きましたが、
人脈が僕にとって、どれだけ大切であるかということが、わかってもらえたかと思います。
本書には、今夜のパーティーで出逢う初対面の人にでも実際に使えるノウハウや、
今後のいい人間関係を築くための具体的なエピソード、コラボレーションをするノウハウや事例も盛り込んでみました。
島田流人脈三つのキーワードは、好奇心、フットワーク、現場一〇〇回。
皆さんが、これを読んで、自分とは別世界の話だと思うのは、早計です。
自分はこんな風になれないと思う必要はありません。
僕の場合は「偶然の出逢い」と「置かれた環境の中で信頼関係を作る」という、
当たり前のことを愚直に当たり前に実行してきただけです。
そしてその中で、最大の努力と工夫をしてきたことが、今の自分のスタイルを作っているのだと思います。
読者の人たちも、今はダイヤの原石だと思ってください。
また、すでに、人脈を構築してきたと思う人は、さらに磨きをかけてください。心から応援します。
島田 昭彦
島田昭彦(しまだあきひこ)
株式会社クリップ代表取締役社長。
1964年京都府まれ。立教大学卒業後、スポーツ総合誌『Number』の編集に10年間携わる。
サッカーW杯、オリンピックなどの現地取材、トップアスリートの国内外の密着取材など多数。
2005年、ヒト、モノ、コト、文化をクリップ(引き合わせ)し、ビジネスをプロデュース・デザインする
総合企画会社、株式会社「クリップ」設立。
現在は、東京、京都、海外を行き来しながら、伝統とモダンの融合をキーワードに、クリエイティブ、ビジネス、文化の領域で、企業コンサルティングを行ない、モノづくりから、新業態開発、カフェ、
地域活性をテーマにした大学まで、コラボレーションの仕掛け人、ヒットメーカーとして活躍中。
『 京友禅アロハ・パゴン』、『京和傘 日吉屋の KOTORI ライト』、
サントリー伊右衛門のカフェ『 IYEMON SALON KYOTO 』などを手がける。
京都の街全体がキャンパスの『京都カラスマ大学』理事兼副学長。 京都精華大学非常勤講師、
日本ソムリエ協会 ワインエキスパート、日本酒利き酒師、京都府広報アドヴァイザー、
TV・ラジオでコメンテーターとして活躍中。
株式会社クリップ http://www.clip-fromkyoto.com/